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アーティスト と クリエイター の違い

アーティスト と クリエイター の違いについてまとめてみようと思います。

何でそんなことをまとめるのかというと、

・区別をつけずに語られることが多いけど、違う人種なので区別した方が良くない?
・自分がどっちのタイプか分かったら、どういう行動をすれば良いかが分かる。
・アーティスト や クリエイター と仕事をするときに、どう接したら良いかが分かる。

もしあなたが 脚本家 や 映画監督 、 画家 、 イラストレーター 、 フォトグラファー 、 芸術家 などを目指していたら、

・自分が アーティストタイプ なのか
・それとも クリエイタータイプ なのか

を知ることで、今後どういう活動をしていけば良いのかが分かると思います。

あるいは デザイナー や コンテンツ制作者 と仕事をするとき、
仕事相手とどう接したら良いのか参考になると思います。

では アーティスト と クリエイター の違いについてまとめます。

アーティスト と クリエイター の定義

まずは クリエイター がどんな人で アーティスト がどんな人なのかを定義しましょう。

僕は以下のように認識しています。

・ クリエイター は顧客の要望や期待に応える。
・ アーティスト は自分の思いや世界観を表現する。

参考までに、他の方が書かれた記事もお読みください。
下のURLの『 クリエイター は アーティスト ではない』というところに、
クリエイター と アーティスト の違いがうまくまとめられていると思います。

https://www.pc-koubou.jp/magazine/43294

クリエイター も アーティスト も同じように表現をする人なんですけど、
目的がだいぶ違うんですよね。

仕事相手としては アーティスト より クリエイター

アーティスト と クリエイター は目的が違うと言いましたけど、
実は考え方や行動が真逆だったりします。

例えば サイト制作 で クライアント が集客を求めている場合、
そのサイトは必ずしも完成度の高いものでなくて良い場合があります。

お客さんからすると、求めているのは完成度ではなく集客です。
それに予算はできるかぎり抑えたいと思っています。

だからもしかするとテンプレで良いかもしれない。

しかし アーティスト は、自分の納得のいかないものは作りたくありません。
細かいことにちゃんとこだわって、完成度の高いものを作りたいのが アーティスト です。

最初はお客さんの思いを汲みとっていても、だんだん自分の制作欲が勝ってしまいます。

一方、 クリエイター にとっては クライアント の課題解決が最優先事項です。
そのため顧客が望んでいない細部にこだわる アーティスト が許せなかったりします。

なので仕事相手としては クリエイター の方がやりやすいです。
クリエイター はお客様の要望を実現してくれますが、
アーティスト は自分の理想にこだわりすぎてしまうのでめんどくさいんですよね。

アーティスト と クリエイター の生態

自己表現をするのが目的なのか、それとも顧客の希望を実現するのが目的なのか。
この違いは、 アーティスト と クリエイター の生態にも大きく影響します。

では具体的にどう違うのでしょうか。
僕が アーティスト や クリエイター に会ったり話したりした経験則にはなりますが、
まとめてみたいと思います。

アーティスト の生態

・ 芸術 が生きる糧
アーティスト にとって、作品や表現は生きる糧です。
そのため制作に集中しはじめたら自分でも止められず、
食事も睡眠も忘れて没頭したりします。

しかし一旦中断したら集中力が切れてしまって、
なかなか再開できない場合があります。
なので『鶴の恩返し』じゃないですけど、
途中で制作から引き離さない方が良いです。

・天才肌
天才ではなく天才肌なので注意してください。
そんなに努力をしなくてもある程度のところまでは行けるので、
パッと見、"できる人"に見えますが、
ある程度できるが故にあまり努力や勉強をしていないことがあります。
でも、たまにものすごい天才がいます。

・無邪気
遊びがそのまま仕事になっている人が多く、子どものまま大人になった人もいます。
なのでわがままだったり、常識がなかったり、
自分の身なりやお金に執着がなかったりします。

お金で動かない人も多いので、
そういう人には好奇心を刺激してあげると良いと思います。

・感受性が鋭い
感性を大事にしているため論理的には破綻してたりします。
言動は強気なのにガラスのハートで、意外と傷つきやすかったりします。

・独特の美意識を持っている
独自の人生哲学があったり、ファッションが独特だったりします。
作品を作ることにしか興味がないので、
髪の毛がボサボサだったり、衣服に無頓着な人も多いです。

クリエイターの生態

・アイディアが豊富
ちゃんとインプットしているのでアイディアが豊富です。
でもたまに自分のことを アーティストタイプ だと思っている人や、
アーティスト に憧れている人がいます。
その場合、 アーティスト の悪い面が出たりします。

・IQが高い
顧客の要望に応えようと幅広い知識を身につけていてIQの高い人が多いです。
どう振る舞えばカッコ良く見えるかを研究したりして自己プロデュース力があります。
アーティスト に比べると自分を制御できる人が多く、スマートな印象です。

・編集能力が高い
幅広い知識を駆使して作品を作り上げる編集能力が高いです。
でもよく見るとコピペだったりすることがあります。

・世の中を読む能力がある
世の中の流行りすたりに敏感です。
これだと思ったら真っ先に飛び込んで、
イノベーター としてポジションを確立する能力があります。
ただし取り組むのが早すぎて理解されないことも多く、
知らないうちに敵を作っていたりします。

・人間関係が下手
IQが高く努力もしているので、周りがバカに見えたりするみたいです。
なので人を育てるのがあまりうまくなかったり、人間関係が下手だったりします。

以上のように アーティスト と クリエイター の生態をまとめてみましたが、
実際にはグラデーションのようなもので、完全に分けられるわけではありません。

クリエイター 寄りの アーティスト がいたり、考え方は クリエイター なのに プロダクト は アーティストタイプ だったりと色々です。

自分は クリエイタータイプ だから人を見下したりしないように気をつけようとか
アーティスト になりたいから作品制作に没頭できるような環境を作ろうなどと
考えるきっかけにしてください。

アーティスト と クリエイター は相容れない?

さて、 アーティスト と クリエイター は考え方や行動が真逆だったりすると言いましたが、
じゃあ アーティスト は クリエイター のことをどう見てて、
クリエイター は アーティスト に対してどんな思いがあるのでしょうか。

クリエイタータイプ から見ると アーティストタイプ は以下のように見えたりします。

「大人なんだから自分のやりたいことばかり追求すんなよ」
「 クライアント の課題を解決するのがプロの仕事だろ」
「独りよがりのオナニー作品を作りやがって」

一方、 アーティストタイプ からは クリエイタータイプ がこんなふうに見えます。

「浅い作品を作りやがって」
「プロなら作品で黙らせろ」
「何かどこかで見たことのあるような作品ばっかだな」

僕が一緒に活動していた 映画監督 のYさんは アーティストタイプ で、
よく「金のために仕事をするなよ」と言われました。

アーティスト と クリエイター のハイブリッド

大林宣彦監督 も『 最後の講義 』で
「売れるための 映画 なんて一度も作ったことがない」
と言っていました。

新藤兼人監督 は、本来は アーティストタイプ ですが、
クリエイタータイプ のようにふるまったことで有名です。
『 裸の島 』は 新藤監督 が アーティスト 全開で作った 映画 で、
セリフ が一つもないことで知られています。
彼は自分が本当に作りたい 映画 を制作するために、
会社が求める 映画 を撮ったり 脚本 提供をおこなったりして資金を作ったそうです。

つまり 新藤監督 は クリエイター と アーティスト のハイブリッド。
先ほど書いたY監督はお金のために作品を作るのは悪だと考えていたので、
あまり好きではなかったようですが、
僕は 新藤監督 のようなスタンスもカッコイイと思います。

クリエイター と アーティスト はどちらが上か

もう一つよく話題に挙がりがちなのは、
クリエイター と アーティスト はどちらが上なのかという話です。
無難な意見で申し訳ないのですが、僕はどちらが上とか下とかはないと思います。

アーティスト のように、自分の内面をとことん見つめつづける作業は、かなりハードです。
一方、 クリエイター のように、 クライアント の要望に応え続けることもこれまた大変です。

ただし世の中のニーズがあるのは、どちらかというと クリエイター です。
顧客の希望に応えてくれるのだから当然ですよね。

でも 映画 界もすっかり アーティストタイプ の 監督 さんがいなくなってしまいました。
残念でなりません。

まとめ

今回は、 アーティスト と クリエイター の違いについてまとめてみました。

もしあなたが アーティストタイプ だとしたら、
クリエイター のように顧客満足度を上げる努力をした方がお金が稼げるかもしれません。

あなたが クリエイタータイプ なら、
アーティスト のような自分に対するこだわりや情熱を持っても良いかもしれませんね。

ちなみに僕は アーティストタイプ で、
どんな仕事でもやり始めると変に細かいところまでこだわってしまい、
抜けられなくなりがちです。

一度集中力が途切れたらなかなか再開できないというのは僕のことです。
こうしてまとめることで自分に足りないものがわかりました。

いかがでしょうか。
アーティスト と クリエイター の違いについてまとめてみました。

あなたにとってこの記事が何かしらの参考になれば嬉しいです。

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